東京の家賃相場というとそれはもう大変なものである。
うちの実家は滋賀にあり、おじいちゃんがアパート経営をしていたので分かるが、とんでもない。
実家の近所の家賃相場は、おそらく2万円。東京の家賃相場の約4分の1だ。
まぁ、それでも家賃を払えない賃貸人は居る。おじいちゃんは、家賃の管理は出来ないので全部おかんがやっていた。
家賃の取立てに行っても、いつも留守。たぶん居留守なんだろうけど。
僕は、子供だったけど2万円は家賃相場的にも安いと知っていた。
なのに払えない人が居るなんて、どんだけ〜っと思っていた。
そんなある日、その家賃未払い賃貸人がうちに来た。ようやく支払いに来たのかと思いきや、その女は、金ではなく生の牛肉を持ってきた。
「・・・。」である。
おかんは面食らっていたが、その女はいたってまじめな顔つきで「家賃相場のことはさておいて、お納めください。」といっていた。
意味は分からなかったけど、その人の精一杯の気持ちだったのだろう。
その人の苗字は忘れたが、下の名前は覚えている。
家賃通帳に書かれていたのは「キミコ」という名前だった。